「酵素が入ってる食べ物って、どれなんだ」
さちこさんが少し考えます。
「生のものじゃない? 大根とか、果物とか」
「野菜なら何でもいいのかね」
酵素は、私たちが食べる多くの食品に含まれています。 ただし、どの食品に、どんな酵素が、どれだけという話になると、 あまり整理されていません。
この記事では、食品に含まれる酵素を、 果物・野菜・発酵食品に分けて見ていきます。
- 酵素を含む食品の考え方
- 果物に含まれる酵素
- 野菜に含まれる酵素
- 発酵食品と酵素の関係
酵素を含む食品の、基本の考え方
まず、前提をひとつ。
生きている生物には、必ず酵素があります。
植物も動物も、細胞の中で化学反応を起こしています。 その反応を助けているのが酵素です。 だから、加熱していない食材には酵素が含まれています。
問題は「含まれているかどうか」ではなく、
「食べる時点で、はたらける状態か」です。
加熱すれば失活しますし、食べた酵素の多くは胃で分解されます。
その上で、「酵素を含む食品」として話題になるのは、 はたらきが分かりやすい食材です。 肉をやわらかくする、でんぷんを甘くする。 効果が目に見えるものが、名前を知られています。
果物に含まれる酵素
果物では、タンパク質を分解する酵素がよく知られています。
| 果物 | 酵素の名前 | 分解するもの |
|---|---|---|
| パイナップル | ブロメライン | タンパク質 |
| パパイヤ | パパイン | タンパク質 |
| キウイ | アクチニジン | タンパク質 |
| いちじく | フィシン | タンパク質 |
| メロン | ククミシン | タンパク質 |
| バナナ | アミラーゼ | でんぷん |
ゼラチンが固まらない理由
生のパイナップルでゼリーを作ると、固まりません。
ゼラチンはタンパク質でできています。 パイナップルのブロメラインが、それを分解してしまうためです。
缶詰のパイナップルなら問題ありません。 製造過程で加熱されているので、酵素が失活しています。
ゼリーを作るときは、缶詰を使うか、 生の果物をあらかじめ加熱してから使ってください。 寒天であれば、材料が海藻なので影響を受けません。
口の中がピリピリするとき
パイナップルやキウイを食べて、口の中がピリピリすることがあります。
これは、酵素が口の中のタンパク質にはたらいているためだと 考えられています。食べ過ぎると起こりやすくなります。
体に害があるわけではありませんが、気になる場合は 加熱するか、量を控えてください。
野菜に含まれる酵素
野菜では、でんぷんを分解する酵素が代表的です。
| 野菜 | 酵素の名前 | 分解するもの |
|---|---|---|
| 大根 | アミラーゼ | でんぷん |
| かぶ | アミラーゼ | でんぷん |
| 山芋 | アミラーゼ | でんぷん |
| キャベツ | ビタミンU(酵素ではない) | ー |
| 玉ねぎ | アリイナーゼ | 香り成分 |
大根おろしが添えられる理由
焼き魚に大根おろし。天ぷらに大根おろし。
大根のアミラーゼは、でんぷんを分解します。 昔から添えられてきたのは、経験的に さっぱりする、食べやすいと感じられてきたからでしょう。
ただし、大根の酵素はすりおろすと壊れやすい性質があります。 時間が経つと辛味も飛び、はたらきも落ちます。
食べる直前におろすのが、理にかなっています。
玉ねぎを切ると涙が出る
玉ねぎを切ると涙が出るのも、酵素のしわざです。
細胞が壊れると、アリイナーゼという酵素が 硫黄を含む成分にはたらき、刺激のある物質ができます。
冷やしてから切ると涙が出にくいのは、 低温で酵素のはたらきが遅くなるためです。
発酵食品と酵素
発酵食品は、少し話が違います。
味噌、醤油、ぬか漬け、納豆、甘酒。 これらは微生物が作った酵素が、原料にはたらいた結果できたものです。
麹菌、乳酸菌、納豆菌などが原料に加わります。
微生物が、原料を分解するための酵素を作り出します。
タンパク質がアミノ酸に、でんぷんが糖に変わります。
分解されてできたアミノ酸や糖が、味を作ります。
味噌のうま味は、大豆のタンパク質が 麹の酵素でアミノ酸に分解されてできたものです。 発酵とは、目に見えないところで起きている分解のことだと 考えると分かりやすいかもしれません。
加熱した発酵食品は、どうなるか
味噌汁の味噌、焼いた納豆、煮た漬物。
加熱すれば、酵素は失活します。 しかし発酵の過程でできたアミノ酸や有機酸は、熱でも残ります。
うま味が消えるわけではありません。 「酵素が失われる」ことと「価値がなくなる」ことは別です。
食べ方の工夫
最後に、日々の食事でできることをいくつか。
大根おろし、おろし生姜、山芋。少量でも続けやすい形です。
大根の酵素は、時間が経つと落ちます。
決まりではありませんが、単独で食べるほうが好む方が多いようです。
味噌汁、漬物、納豆。習慣にしやすいものを選びます。
どれも、続けられる形を選ぶことが第一です。 「酵素のために生野菜を大量に食べる」といった無理は、 かえって長続きしません。
変色も、酵素のしわざ
りんごを切って置いておくと、切り口が茶色くなります。 バナナも、じゃがいもも、アボカドも同じです。
これは酸化酵素という酵素のはたらきによるものです。 細胞が壊れて空気に触れると、 色素のもとになる成分が変化していきます。
酵素のはたらきが抑えられます。
酸性にすることで、同じように変色しにくくなります。
ラップで密着させる、水につけるなど。
酵素が失活するので、変色が止まります。
お弁当にりんごを入れるとき、 塩水にくぐらせる方法が知られています。 理屈の上でも、理にかなった処理です。
保存と、酵素のはたらき
食材の酵素は、保存中もゆっくりはたらいています。
追熟という現象
バナナ、アボカド、キウイ、桃。
これらは収穫したあとも変化します。 でんぷんが糖に変わり、甘くなる。 硬い果肉がやわらかくなる。これが追熟です。
追熟を進めているのも、果物自身の酵素です。
| 果物 | 変化 | 目安 |
|---|---|---|
| バナナ | 皮が黄色く、甘くなる | 常温で数日 |
| アボカド | 果肉がやわらかくなる | 常温で3〜5日 |
| キウイ | 酸味が減り甘くなる | りんごと一緒に置くと早い |
| 桃 | 香りが強くなる | 常温で1〜2日 |
キウイをりんごと一緒に置くと早く熟すのは、 りんごが出すエチレンガスが追熟を促すためです。
冷蔵庫に入れるタイミング
追熟させたいものは、常温に置きます。 冷蔵庫に入れると酵素のはたらきが遅くなり、 熟すのが止まります。
食べ頃になってから冷蔵庫に移す、というのが基本です。
逆に、バナナを冷蔵庫に入れると黒くなるのは、 低温障害という別の現象です。 熱帯の果物は低温に弱いものが多く、 冷蔵庫が向かない場合があります。
まとめ
-
1
加熱していない食材には、必ず酵素が含まれています。
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2
果物ではタンパク質を分解する酵素が代表的です(パイナップル、キウイなど)。
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3
野菜ではでんぷんを分解する酵素が知られています(大根、山芋など)。
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4
発酵食品は、微生物の酵素が原料を分解してできたものです。
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5
加熱で酵素は失活しますが、発酵でできたうま味成分は残ります。
まさはるさんが、記事を読んだ話をしました。
さちこさんは、すでにおろし金を出していました。
「昔からそうしてるわよ」
パイナップル、パパイヤ、キウイ、大根、山芋などがよく挙げられます。 いずれも加熱していない状態で含まれます。 ただし、食べた酵素の多くは胃で分解されるため、 「摂れば体内の酵素が増える」わけではありません。
酵素という観点では、生のほうがはたらいた状態で食べられます。 ただし、加熱したほうが食べやすい食材もあります。 噛む力や消化の状態に合わせて選んでください。
ブロメラインがゼラチンのタンパク質を分解しているためです。 缶詰を使うか、果物を加熱してから使ってください。 寒天なら影響を受けません。
発酵の過程で微生物が酵素を作ります。 ただし製品によっては、加熱処理で失活しているものもあります。 いずれにせよ、発酵でできたアミノ酸やうま味成分は残っています。
明確な目安はありません。 酵素は栄養素として定められた摂取基準がないためです。 食べやすい形で、続けられる量を選んでください。
食品添加物は使用していません。1日あたり約189円。
※この記事は、酵素という物質についての一般的な情報をまとめたものです。
特定の食品の効果・効能を示すものではありません。
※登場人物は物語上の設定です。
※健康食品は医薬品ではありません。
体調に不安のある方は、かかりつけの医師にご相談ください。
監修:菊地睦(げんき生活株式会社 代表取締役)


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