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酵素を含む食品|生で食べたい食材と、その特徴

買い物袋から大根と果物を台所に出している高齢の女性の手元 酵素のきほん
買い物袋を提げながら、まさはるさんが言いました。
「酵素が入ってる食べ物って、どれなんだ」
さちこさんが少し考えます。
「生のものじゃない? 大根とか、果物とか」
「野菜なら何でもいいのかね」
— スーパーの帰り道

酵素は、私たちが食べる多くの食品に含まれています。 ただし、どの食品に、どんな酵素が、どれだけという話になると、 あまり整理されていません。

この記事では、食品に含まれる酵素を、 果物・野菜・発酵食品に分けて見ていきます。

この記事でわかること
  • 酵素を含む食品の考え方
  • 果物に含まれる酵素
  • 野菜に含まれる酵素
  • 発酵食品と酵素の関係
生のパイナップル、キウイ、いちじく、バナナが並んだ果物皿

酵素を含む食品の、基本の考え方

まず、前提をひとつ。

生きている生物には、必ず酵素があります。

植物も動物も、細胞の中で化学反応を起こしています。 その反応を助けているのが酵素です。 だから、加熱していない食材には酵素が含まれています。

🔑

問題は「含まれているかどうか」ではなく、
「食べる時点で、はたらける状態か」です。
加熱すれば失活しますし、食べた酵素の多くは胃で分解されます。

その上で、「酵素を含む食品」として話題になるのは、 はたらきが分かりやすい食材です。 肉をやわらかくする、でんぷんを甘くする。 効果が目に見えるものが、名前を知られています。

果物に含まれる酵素

果物では、タンパク質を分解する酵素がよく知られています。

果物に含まれる主な酵素
果物 酵素の名前 分解するもの
パイナップル ブロメライン タンパク質
パパイヤ パパイン タンパク質
キウイ アクチニジン タンパク質
いちじく フィシン タンパク質
メロン ククミシン タンパク質
バナナ アミラーゼ でんぷん

ゼラチンが固まらない理由

生のパイナップルでゼリーを作ると、固まりません。

ゼラチンはタンパク質でできています。 パイナップルのブロメラインが、それを分解してしまうためです。

缶詰のパイナップルなら問題ありません。 製造過程で加熱されているので、酵素が失活しています。

🌱
なるほど

ゼリーを作るときは、缶詰を使うか、 生の果物をあらかじめ加熱してから使ってください。 寒天であれば、材料が海藻なので影響を受けません。

口の中がピリピリするとき

パイナップルやキウイを食べて、口の中がピリピリすることがあります。

これは、酵素が口の中のタンパク質にはたらいているためだと 考えられています。食べ過ぎると起こりやすくなります。

体に害があるわけではありませんが、気になる場合は 加熱するか、量を控えてください。

野菜に含まれる酵素

野菜では、でんぷんを分解する酵素が代表的です。

玉ねぎを切る高齢の女性の手元と、まな板の上の大根
野菜に含まれる主な酵素
野菜 酵素の名前 分解するもの
大根 アミラーゼ でんぷん
かぶ アミラーゼ でんぷん
山芋 アミラーゼ でんぷん
キャベツ ビタミンU(酵素ではない) ー
玉ねぎ アリイナーゼ 香り成分

大根おろしが添えられる理由

焼き魚に大根おろし。天ぷらに大根おろし。

大根のアミラーゼは、でんぷんを分解します。 昔から添えられてきたのは、経験的に さっぱりする、食べやすいと感じられてきたからでしょう。

ただし、大根の酵素はすりおろすと壊れやすい性質があります。 時間が経つと辛味も飛び、はたらきも落ちます。

食べる直前におろすのが、理にかなっています。

玉ねぎを切ると涙が出る

玉ねぎを切ると涙が出るのも、酵素のしわざです。

細胞が壊れると、アリイナーゼという酵素が 硫黄を含む成分にはたらき、刺激のある物質ができます。

冷やしてから切ると涙が出にくいのは、 低温で酵素のはたらきが遅くなるためです。

発酵食品と酵素

発酵食品は、少し話が違います。

味噌、醤油、ぬか漬け、納豆、甘酒。 これらは微生物が作った酵素が、原料にはたらいた結果できたものです。

発酵食品ができるまで
1
微生物が入る

麹菌、乳酸菌、納豆菌などが原料に加わります。

2
酵素を作る

微生物が、原料を分解するための酵素を作り出します。

3
分解が進む

タンパク質がアミノ酸に、でんぷんが糖に変わります。

4
うま味になる

分解されてできたアミノ酸や糖が、味を作ります。

🌱
なるほど

味噌のうま味は、大豆のタンパク質が 麹の酵素でアミノ酸に分解されてできたものです。 発酵とは、目に見えないところで起きている分解のことだと 考えると分かりやすいかもしれません。

加熱した発酵食品は、どうなるか

味噌汁の味噌、焼いた納豆、煮た漬物。

加熱すれば、酵素は失活します。 しかし発酵の過程でできたアミノ酸や有機酸は、熱でも残ります。

うま味が消えるわけではありません。 「酵素が失われる」ことと「価値がなくなる」ことは別です。

食べ方の工夫

最後に、日々の食事でできることをいくつか。

味噌汁、漬物、納豆が並んだ朝の膳
無理なくできる工夫
1
薬味として添える

大根おろし、おろし生姜、山芋。少量でも続けやすい形です。

2
食べる直前におろす

大根の酵素は、時間が経つと落ちます。

3
果物は食後より食間に

決まりではありませんが、単独で食べるほうが好む方が多いようです。

4
発酵食品は毎日少しずつ

味噌汁、漬物、納豆。習慣にしやすいものを選びます。

どれも、続けられる形を選ぶことが第一です。 「酵素のために生野菜を大量に食べる」といった無理は、 かえって長続きしません。

変色も、酵素のしわざ

りんごを切って置いておくと、切り口が茶色くなります。 バナナも、じゃがいもも、アボカドも同じです。

これは酸化酵素という酵素のはたらきによるものです。 細胞が壊れて空気に触れると、 色素のもとになる成分が変化していきます。

変色を抑える方法
1
塩水につける

酵素のはたらきが抑えられます。

2
レモン汁をかける

酸性にすることで、同じように変色しにくくなります。

3
空気に触れさせない

ラップで密着させる、水につけるなど。

4
さっと加熱する

酵素が失活するので、変色が止まります。

お弁当にりんごを入れるとき、 塩水にくぐらせる方法が知られています。 理屈の上でも、理にかなった処理です。

保存と、酵素のはたらき

食材の酵素は、保存中もゆっくりはたらいています。

追熟という現象

バナナ、アボカド、キウイ、桃。

これらは収穫したあとも変化します。 でんぷんが糖に変わり、甘くなる。 硬い果肉がやわらかくなる。これが追熟です。

追熟を進めているのも、果物自身の酵素です。

追熟する主な果物
果物 変化 目安
バナナ 皮が黄色く、甘くなる 常温で数日
アボカド 果肉がやわらかくなる 常温で3〜5日
キウイ 酸味が減り甘くなる りんごと一緒に置くと早い
桃 香りが強くなる 常温で1〜2日

キウイをりんごと一緒に置くと早く熟すのは、 りんごが出すエチレンガスが追熟を促すためです。

冷蔵庫に入れるタイミング

追熟させたいものは、常温に置きます。 冷蔵庫に入れると酵素のはたらきが遅くなり、 熟すのが止まります。

食べ頃になってから冷蔵庫に移す、というのが基本です。

🌱
なるほど

逆に、バナナを冷蔵庫に入れると黒くなるのは、 低温障害という別の現象です。 熱帯の果物は低温に弱いものが多く、 冷蔵庫が向かない場合があります。

まとめ

  • 1
    加熱していない食材には、必ず酵素が含まれています。
  • 2
    果物ではタンパク質を分解する酵素が代表的です(パイナップル、キウイなど)。
  • 3
    野菜ではでんぷんを分解する酵素が知られています(大根、山芋など)。
  • 4
    発酵食品は、微生物の酵素が原料を分解してできたものです。
  • 5
    加熱で酵素は失活しますが、発酵でできたうま味成分は残ります。
おろし金と大根を手にした高齢の女性の手元、台所の午後
「大根おろしは、食べる直前におろすといいらしい」
まさはるさんが、記事を読んだ話をしました。
さちこさんは、すでにおろし金を出していました。
「昔からそうしてるわよ」
— 台所にて
Q. 酵素を多く含む食べ物は何ですか

パイナップル、パパイヤ、キウイ、大根、山芋などがよく挙げられます。 いずれも加熱していない状態で含まれます。 ただし、食べた酵素の多くは胃で分解されるため、 「摂れば体内の酵素が増える」わけではありません。

Q. 野菜は生で食べたほうがよいのですか

酵素という観点では、生のほうがはたらいた状態で食べられます。 ただし、加熱したほうが食べやすい食材もあります。 噛む力や消化の状態に合わせて選んでください。

Q. 生のパイナップルでゼリーが固まりません

ブロメラインがゼラチンのタンパク質を分解しているためです。 缶詰を使うか、果物を加熱してから使ってください。 寒天なら影響を受けません。

Q. 発酵食品にも酵素は含まれますか

発酵の過程で微生物が酵素を作ります。 ただし製品によっては、加熱処理で失活しているものもあります。 いずれにせよ、発酵でできたアミノ酸やうま味成分は残っています。

Q. 酵素を含む食品を、どのくらい食べればよいですか

明確な目安はありません。 酵素は栄養素として定められた摂取基準がないためです。 食べやすい形で、続けられる量を選んでください。

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※こちらは食品です。医薬品ではありません。

※この記事は、酵素という物質についての一般的な情報をまとめたものです。 特定の食品の効果・効能を示すものではありません。
※登場人物は物語上の設定です。
※健康食品は医薬品ではありません。 体調に不安のある方は、かかりつけの医師にご相談ください。
監修:菊地睦(げんき生活株式会社 代表取締役)

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